持続可能な地域社会とシェアする公共空間の重要性

近年、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、資源の有効活用が世界的な課題となっています。この流れの中で、公共施設の役割も「行政が管理する場所」から「市民がシェアする資産」へと意識が変わりつつあります。所有から利用(シェア)へ。この価値観の転換は、施設などの「空間」に限らず、私たちのライフスタイル全般に広がりを見せています。

目次

所有から共有へシフトする公共資産の考え方

高度経済成長期には、各地で多くの公共施設が建設されました。しかし、人口減少や財政難に直面する現代において、すべての施設を維持管理していくことは困難になりつつあります。そこで重要となるのが、既存のストック(資産)を賢く使いこなすという発想です。

税金の有効活用と施設の稼働率向上

公共施設は市民の税金で運営されています。立派な施設があっても、利用されずに閑散としていては、それは「負の遺産」になりかねません。

施設を多くの人でシェアし、稼働率を高めることは、税金の有効活用に直結します。特定の団体が独占するのではなく、空いている時間を多様な用途でシェアする。例えば、昼間は高齢者のサロン、夕方は子供の学習塾、夜は社会人のサークル活動といった具合に、時間を区切ってシェアすることで、一つの空間が何倍もの価値を生み出します。

維持管理コストの削減とサステナビリティ

新しい建物を次々と建てるのではなく、今ある施設を修繕しながら大切に使い続けることは、環境負荷の低減にもつながります。

スクラップ・アンド・ビルドの時代から、リノベーションとシェアの時代へ。適切な維持管理を行い、利用者全員で施設をケアしていくことは、建設にかかる膨大なエネルギーや資源の節約になります。これは、地域レベルで取り組むことができる、具体的かつ効果的なサステナビリティの実践です。

シェアすることで生まれる新たな価値とコミュニティ

空間をシェアすることは、単なるコストカットや合理化だけの話ではありません。異なる目的を持った人々が同じ場所を共有することで、予期せぬ交流や新しい価値が生まれます。

世代を超えた交流と地域資源の有効活用

公民館やアメニティセンターのような場所では、普段の生活では接点のない世代同士がすれ違います。ロビーでの何気ない挨拶や、掲示板を通じた情報交換から、地域のネットワークが広がることがあります。

空間をシェアすることは、地域というコミュニティをシェアすることと同義です。孤立しがちな現代において、緩やかにつながれる「居場所」を共有することは、地域の防犯や防災力の向上といった副次的な効果ももたらします。

必要な時に必要な場所を使う合理的ライフスタイル

自宅に防音室や大きな会議室を持つことは、多くの人にとって現実的ではありませんし、その必要もありません。「必要な時に、必要な機能を持った場所を借りる」というスタイルは、非常に合理的で経済的です。

所有に伴う維持管理の手間や固定費から解放され、身軽に活動を楽しむ。これは、現代人が求める「アメニティ(快適さ)」の形の一つです。公共施設は、まさにこの「シェアリングエコノミー」の先駆けと言える存在なのです。

資源を循環させる「シェアリング」精神が豊かさをもたらす

公共施設の利用を通じて、私たちは知らず知らずのうちに「シェア」の精神を実践しています。自分だけで所有するのではなく、みんなで使い、管理し、譲り合う。この考え方は、持続可能な社会を作る上で最も重要な鍵となります。

そして、この「所有から利用へ」「必要な時だけシェアする」という価値観は、空間利用だけにとどまりません。車、仕事場、そして衣服に至るまで、様々な分野でシェアリングサービスが普及しています。

モノを溜め込まず、必要な時に高品質なサービスを利用する。そうすることで、物理的な負担を減らし、精神的な豊かさや体験の質を高めることができます。次章(フェーズ2)からは、この「シェアとアメニティ」の視点を、私たちの身近な「装い」の分野へと広げて考えていきます。

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